昨今テレビを見ない若者が増えている。
原因は誰もが分かるようにスマホの利用とネットフリックスなどの動画配信サービスの利用拡大が挙げられる。
テレビは観たいときに必ずしも放送しているとは限らないし、放送中もCMがちょこちょこと挟むなど利用者にとって便利な娯楽とは言い難い。
また、テレビを見ないだけでなく、テレビ自体を持たない世帯も増えている。
そうなれば否が応でも絶対テレビ番組を見ることはできない。
テレビという娯楽が若者世代から無くなりつつある現状がある。
しかし、若者である自分に当てはめてみれば、それは全く異なる。
私はテレビをよく見る。
家に帰ったらまずはテレビをつける。
一世代前の人たちのように、家にいるときは基本的にテレビをつけている。
そんな私だからこそ、見ない若者にこそ言いたいことがある。
若者こそテレビを見よ。
この記事では昨今の流れとは全く正反対の主張をする理由と、私とは正反対の私の周りにいるテレビを見ない若者を紹介しよう。
なぜテレビを見た方がいいのか。
なぜならテレビは目まぐるしく変化する社会を生き抜くための貴重な情報源であるからだ。
なぜ若者はテレビを見ないのか
私はいわゆるテレビっ子だろう。
テレビを見て育ち、そして社会人になった今もテレビをよく見ている。
しかし、スマホでネット記事を見ていると、テレビを見ない若者が増えているニュースをよく目にする。
私はとても信じられなかった。
私だって正真正銘の若者だ。Z世代というやつだ。
しかし、よくよく周りの友人たちから話を聞いたり観察したりしていると、確かにテレビを見ていない人が多い。
正確に言えばテレビ番組を見ない。
なぜ彼らはテレビを見ないのか。
この記事の初めに主な原因を書いたが、これも人それぞれの理由があった。
テレビがつまらない
大学を卒業し、一人暮らしを始めようとしていた彼女は言った。
「テレビを置こうか迷う。」
私にとってテレビを置かない理由が分からないから、とりあえず置いといたほうがいいのではないかと伝えた。
そのアドバイスに従って一応テレビは中古で買って一人暮らしの部屋に置いたという。
しかし、テレビはもっぱらYouTubeを見るのに使っている。
地上波は全く見ないのだという。
だから今流行りのお笑い芸人や番組は全く分からない。
どうやら彼女にとってテレビ番組はつまらないらしい。
娯楽としての役目を十分に果たす機械ではないのだ。
まあ自分もバラエティはあまり見ない。
モニタリングとかモノマネグランプリとか日本の文化バンザイみたいな番組は好きではない。
だから自分で好きなジャンルが選べるYouTubeをよく見ている。
一応テレビを置くように勧めなかったら、小さい画面のスマホで見ることになっていたから、私はテレビを置くよう勧めてよかったと今では思う。
これまた別の友人になるが、大学を卒業し、晴れてSEとなった彼女はとても張り切っていた。
これからは情報サービスの時代。SEとなって手に職をつけた強い大人へとなろうとしていた。
孫正義や「メモの魔力」というベストセラー本の著者である前田祐二などを崇拝している彼女は、実家を出て一人暮らしを始めるときにテレビを捨てた。
彼女はテレビを見ないだけでなく、テレビを持たない選択を選んだ。
だが、こういった人も最近はよくいる。
なぜ彼女はテレビを持たないのか。
それは、テレビは信用できないからだ。
「テレビで流されるニュースにはエビデンスもファクトもない。」
そう彼女は言う。
確かにテレビで流されるニュースはどういった検証を行ってファクトチェックしているのかは、テレビを見ている我々視聴者にとっては全く分からない。
完全なブラックボックスといってもいいだろう。
そして時には誤報を流すことだってある。
評論家を招いて一事件の裏側を我が物顔で(そして推測で)語る光景は、もはや当たり前の演出となっている。
「今や情報は自分で集めに行く時代だ。」
ぼけーっとテレビを眺めて流れる情報をただ頭に入れる時代ではないと、彼女は言うのだろう。
今の時代スマホ一台で、好きなときに、好きなだけ、様々な情報が手に入る。
そうやって手に入る情報を自分の力でエビデンス、ファクトチェックをして正しい情報を集める。
それがこれからの時代を生き抜く賢い生き方なのだろう。
テレビ番組はバラエティだけでない
テレビ番組がつまらないのは仕方ない。
人それぞれ好みは違うからだ。
しかし、テレビは決してバラエティ番組だけ流している機械ではない。
バラエティのほかにもニュース、旅、スポーツ、ドキュメンタリーなど様々なジャンルの番組がある。
YouTubeにもたくさんのジャンルの動画があるが、多額の予算をかけて構成された番組には、YouTuberには決してまねのできない質の良い番組がたくさんある。
NHKで流れるドキュメンタリーは特に良い。
その番組を見なければ決して目にすることがなかった景色、世界、感情を経験することがある。
それが本物であるから映画とはこれまた違う。
ドキュメンタリー一本見るだけでも、知見はとても大きく広がる。
そして見終わったときには、美味しいステーキを平らげたときのような満足感が得られる。
テレビ全体をバラエティだけでくくらずにもっとジャンルを広く見てほしいと思う。
テレビ番組のニュースは貴重な情報源
テレビにはエビデンスが無い。
確かに私たちには本当にファクトチェックされたかは分からない。
しかし、ネットこそそうであろう。
誰もが発信者となりえるネットの世界では、ファクトチェックがどうこう以前に、意図的に噓を流している輩がたくさんいる。
自分自身でファクトチェックをするといっても、果たして今の自分に蓄えられた情報たちで本当に噓を見破ることができるのか。
信頼しているネットの著名人が本当に嘘をついていないのか。
1万リツイートされて多くの者に支持されているからといって安心できる情報源なのか。
自分自身を信用している人ほどデマにつかまりやすいという実験結果もある。
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また、自分で情報を取りにいくというが、実はネットで見る情報はAIによって恣意的に選ばれている。
kotobank.jp
つまり縦断的に情報を集めていると思っているのに、実は狭まった範囲の情報しか手に入れてない可能性がとても高いのだ。
エコーチェンバーという言葉を聞いたことはあるだろうか。
TwitterやInstagramなどのSNSで自分の意見に似た人たちをフォローしまくる結果、多様な意見を取り入れる環境がなくなり、あたかも自分の意見が世間の意見と同じだと勘違いしてしまう現象である。
AIによって自分が見る情報が恣意的に操作(最適化)されているネットだけでは、多様な意見を取り入れるにはとても高度な能力が必要だろう。
そういったときこそ、テレビは必要なのだ。
テレビは自分個人に合わせて流すニュースの内容は変えてくれない。
出演しているご意見番も自分の好みなど考慮してくれない。
一方的に情報を流す機械だからこそ、いい具合にランダムに情報を手に入れることができる。
ニュース番組によって報道の仕方、主義主張も異なる。
テレ朝の報道ステーションやTBSの報道特集、テレ東のWBSなど、さらにBSも加えればゴールデンタイムと呼ばれる地上波がバラエティばかり流す時間帯でも硬派なニュース番組を流している。
様々な情報を取捨選択したいときこそ、テレビはつけるものだと私は思う。
テレビの価値は見方によって高められる
テレビはネット配信サービスでは得ることができない知見をくれる。
テレビは私たちの主張を無視して多様な意見を発信してくれる。
これが私のテレビを見るべき2つの理由だ。
ネットばかり見ていると馬鹿になる。
そういう頭の堅い時代遅れな意見を言いたいわけではない。
馬鹿にはならないが、先鋭化した主張をする人間にはなり得るだろう。
そうカッカした人にならないために、私はBSを見ることをお勧めする。
BSは地上波よりも時間がゆっくり流れるような番組が多いからだ。
これは個人的な意見だけどね。