夜、ベッドに入っても寝られないときは、よくリビングのソファに行く。
そして布張りの3人用ソファの上で肘掛けに立てかけたクッションをまくら替わりにし、ブランケットにくるまりながら横になる。
脚を伸ばすとソファからはみ出てしまうから、身体を横に向けて少し膝を折りたたませながら寝る。
少々窮屈だが、ソファにちょうど収まる感じが良い。
もちろんベッドのほうが横も奥行も広く、手足を伸ばして眠ることができる。
しかし、そうしたベッドの上だと身体が快適が故に、頭の中でどうでもいいことを考えてしまう隙を与えてしまう。
将来や過去、現在の考えてもどうしようもないことを頭の中でめぐり巡らせ、どれだけ夜更けであろうと頭は一向に休ませてはくれない。
そうなるとついついスマホに手を伸ばしてしまい、さらに目が冴えて寝られない悪循環に陥ってしまう。
その負のサイクルから抜け出すために、一度ベッドから離れ、リビングのソファへと向かうのだ。
少し身体を丸くして横にならなくてはならない窮屈なソファの上は、寝ることに集中させてくれる。
壁に掛けられた時計が目に入るが、暗すぎて今が何時を指しているのかまでははっきり見えない。
今から寝たら何時間寝られるとか、あと何時間で空が明るくなるとか、余計なことは考えずに済む。
目を瞑って気が付くと数時間が過ぎ去っている。
スマホを覗くとあと1時間もせずに空が明るくなる時間になっている。
まだ眠い身体を起こし、再びベッドへと戻る。
そしてようやくベッドで眠ることができる。
さっきよりも存分に手足を伸ばし、頭を丁寧に包み込んでくれるまくらに埋もれながら快適な気持ちで眠る。
今の家に越してきてから寝られないときのルーティンとなったソファでの睡眠は、今までずっと寝つきの良くない自分にとっては欠かせないものとなった。
家の中に寝られる場所を複数設けることが、寝ることに対するハードルを一気に下げてくれた。
ベッドに入ったら絶対寝なくてはならない。
もしかしたら今までの自分はそう考えていたのかもしれない。
そうして自らを苦しめ寝つきの悪い自分を作ってしまったのではないか。
これから冬に入り、ソファで寝るのには少々寒くて辛くなるが、今年の冬も寝られない自分をソファへと委ねるだろう。