コロナ禍以降のSNSは大きく変わった。
いや、変わったというより変な人たちを表にあぶり出した。
世界の見かたを大きく変えたコロナを闇組織の陰謀と、彼らは捉える。
特にアメリカ国内だとQアノンだとかいう組織が陰謀論好きな人たちを虜にし、闇組織を蹴り倒すためにトランプが躍動するんだという世界観を共有している。
その世界観がなぜ日本でも多く支持されているのか自分はよく分からないが、現にTwitterでは多くの(Qアノンに毒された)トランプ支持者が存在する。
さらにコロナの蔓延も多くの人々を不安にさせて陰謀論者を増やした。
コロナはビルゲイツをはじめとする世界を牛耳る億万長者たちが、ここらでひと儲けしようと企てた嘘の伝染病だという。
ワクチンがどうのこうの、5GがどうのこうのとSNSでは面白がるように話題となった。
そして、直近の話題といえばロシアのウクライナ侵攻だ。
国際連合の常任理事国であるロシアが一主権国家の領土に軍事侵攻するという、まさかまさかの出来事が起こってしまった。
一部の国を除いて全世界はロシアを非難している状況だが、ここでもSNSに潜む陰謀論者はロシアを擁護する。
彼らが何を主張してロシアを擁護しているのかは割愛するが、なにがあろうと一主権国家の領土に無断で軍事ヘリや戦車で押し入り内政干渉を図るのは、どんな理由があってもあってはならないだろう。
以上がSNSに潜む主な陰謀論者だが、驚くことにこれらを語る陰謀論者はみな繋がっている。
つまり、ウクライナ侵攻したロシアを擁護する人の多くはQアノンを信じたトランプ支持者で反ワクチンなのだ。
なぜこれほどまで陰謀論者が増えたのか。
その推測は主に3つあると考える。
1つは、陰謀論者がよく目につくようになっただけ。
つまり、そもそも彼らのような人たちは昔から多く生息していたが、これまであまり活躍する場が無かったのか、陽の目を浴びることは少なかった。
だが、誰でもつながるSNSが発達したおかげで、Twitterのトレンドを開くとよく陰謀論を唱える人を目にするようになってしまっただけなのではないか。
2つ目は、暇を持て余した高齢者が生きがいとしてハマってしまったから。
今まで企業戦士として働いてきた定年退職した今の高齢者が、仕事がなくなりこれといった趣味を持たないが為に、ありとあらゆるものが見られるスマホを手にしてしまいYouTubeやSNSで陰謀論にハマってしまうケースだ。
現にSNSでは身内の高齢者がYouTubeで色々なものを見過ぎるが故に、ワクチン接種をやめるよう電話がかかってきたなどの被害をよく目にしていた。
彼らを陰謀論から救うのはなかなかやっかいだ、
なにせ闇の組織、ディープステートと戦うのが生きがいとなってしまっているのだから。
そして3つ目が、世の中の問題が多すぎて考えるのが大変だから。
上2つはよくネットでも見る論説だが、この3つ目は私がSNS上で感じ取ったことだ。
今、スマホやテレビのニュース、ワイドナショーでは国内国外関係なく多くの問題を取り上げて私たちに提示し、多くの人々があーでもないこーでもないと自身の考えを表明している。
特にここ2年間は私たちの生活に直結する大きな問題が起こり過ぎている。
自分の身に直接かかわる問題だから何も考えずやり過ごすことは難しい。
だからといっても現代の問題はとても複雑だ。
簡単に答えなどは見つからない。
いや、単純な答えなど存在しない。
コロナだってはじめは中国の市場が発端というが、本当のところどうなのか分からない。
いまだに正式に答えが出ていない。
ウクライナ問題だって3月に初めて起こった問題ではない。
2014年には既にロシアによってクリミア半島は占領されている。
つまり2014年以前から色々と問題はくすぶっていたのだ。
だが、多くの日本人は事の発端などよくわからないだろう。
ウクライナ問題にせよ、コロナにせよ、考えなくてはならないことが多すぎる。
そしてそれを調べるのも大変な作業だ。
だから人はつい簡単な答えを求めたがる。
全ては闇の組織、ディープステートが悪いと。
確かに考える作業はとても大変だ。
考えることなんかせずに色々なトピックに対してすぐに断言をしてくれるひろゆきのYouTubeを見たほうが楽だし簡単だ。
だが、その手っ取り早さが一番怖い。
だから考えろ。とは私は言えない。
何度も言うが考えることは大変なことだ。
とても難しい数学の問題を頭をひねりつぶすかのように考え込むのはとても疲れる。
だが、これだけは心に留めておいたほうがいい。
単純な答えなんて無いと。
これだけを心に留めておけば、きっと単純明快な陰謀論にはハマらないだろう。