けろけろの考えごと

無駄な思考もいつかは再利用できると信じて

セリーナへの警告は性差別になるのだろうか

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こんにちは。

 

大波乱の中、大坂なおみ選手の優勝で幕を閉じたテニス全米オープン

四大大会シングルスで日本人として初の優勝の快挙で日本中はまさにフィーバーとなりました。

しかし、世界中では優勝した大坂なおみ選手よりも惜しくも敗れたセリーナ・ウィリアムズ選手のほうが大きく話題となっています。

全米オープンが幕を閉じてからもう一週間は経とうとしていますが、セリーナ劇場となった決勝戦は未だに世界中で大きな論争となっています。

 

 

セリーナへの警告の流れ

 

今一度試合内容を追いながらセリーナ選手の言動を振り返ってみましょう。

 

第1セットは何事もなく6―2で大坂選手が制しました。

セリーナ劇場となったのは第2セットからでした。

第2セットの第2ゲーム途中、セリーナ選手のコーチ、パトリック・ムラトグローがセリーナ選手へコーチングしたとして主審のラモス氏はセリーナ選手へ警告を与えます。

これに対してセリーナ選手は「I don’t cheat to win. I’d rather lose!(私はズルをして勝ちたくないわ!そうするくらいなら負けたほうがマシよ!)」と猛抗議をするも警告は取り消されず。

  • バイオレーション② ラケットの乱用 

続いて、第2セットの第5ゲームでセリーナ選手のミスショットでゲームを奪われるとラケットを地面に強く叩きつけます。

これに対してもセリーナは二度目の警告を受け、第6ゲームは大阪選手にセリーナ選手からの反則ポイント献上からのスタート。

セリーナ選手は一度リターンの構えをするも審判「15-0」のコールに怒りが爆発。

審判に歩み寄り、「This is not fair!(これは公平じゃないわ!)」「You guys apologize to me!(あなたたちは私に謝るべきよ!)」「I’m not a cheater!(私は嘘基地では無いわ!)」と再び抗議を行っています。

  • バイオレーション③ 言葉での侮辱

最後は第2セット第7ゲーム終わりのコートチェンジの際、またも審判に詰め寄り、「この嘘つき!私からポイントを奪ったわね!」とまくし立てるものの、この暴言もペナルティとなり、ついに第8ゲームをせずに1ゲーム分が大坂選手へ与えられます。このペナルティにセリーナ選手は審判に「私は嘘なんかついてない!この泥棒!」と主張。第9ゲームをやり終えるものの、セリーナ選手は再び抗議をおこない、涙を浮かべました。

結果、第2セットも6-4で大坂選手が制し、2-0のストレート勝ちで大坂選手の優勝が決まりました。

セリーナ選手が審判に抗議するたびに観客は審判に対するブーイングが巻き起こり、また試合後の表彰式でもブーイングが収まらないなど終始異様な雰囲気で全米オープンは幕を閉じました。

 

後日、セリーナ選手には全米オープンの主催者から1万7000ドル(約189万円)の罰金が科されました。内容としては主審への暴言1万ドル、コーチからの助言4000ドル、ラケットの破壊3000ドル。これは準優勝の賞金から引かれるそうです。

 

 

セリーナの感じた性差別

 

なぜセリーナ選手はこれほどまで激昂したのでしょうか。

もちろん全米オープンの決勝という大舞台でありますからとてもとても大事な試合だということはわかります。

 

セリーナ選手はこの試合後、会見で主審の判定が性差別的だと主張をしました。

また、「審判を『泥棒』とののしった男子選手が罰せられたことが一度もなく、女性への差別と感じる」と反発しました。

男性選手の場合ならばこのくらいの暴言で警告など受けない。しかし女性で選手あるからもし男性であれば受けなかった警告を受けたというわけでしょう。

審判団に対する強い不信感がセリーナ選手にはあるのです。

これに対して、国際テニス連盟(ITF)は主審を支持する声明を出しました。

ITFは主審ラモス氏の判定については「適切なルールに沿っていた」と言っており、性差別などしていないとの立場です。

 

報道機関の報じ方

 

この性差別にまで発展したテニスの試合に対して世界の報道機関、著名人はどう評価しているのでしょうか。

当初はアメリカ世論の多くはセリーナ擁護の立場でした。

アメリカのワシントンポストは主審による女性差別を指摘するコラムを掲載。セリーナ選手のクレームにも賛同しています。

At U.S. Open, power of Serena Williams and Naomi Osaka is overshadowed by an umpire’s power play - The Washington Post

 

女子テニス協会(WTA)と米国テニス協会(USTA)も試合終了直後にセリーナ支持を表明しました。

WTAを設立したテニス界の大御所、キング氏は番組に出演した際に、セリーナは一線を越えたものの、主審が状況を悪化させる失態を犯したと指摘。

キング氏のツイッターでも「女性が感情的になるとヒステリックと罰せられるが、男性が同じことをしても、なにも問題にならない」と述べました。

 

USTAのカトリーナ会長も当初はセリーナ選手の肩を持ち、主審に公平性が無かったと批判しました。

が、その後事実誤認が判明し、主審に直接謝罪をしました。

全米テニス協会長 セリーナから暴言を受けた主審に一転して謝罪 - ライブドアニュース

しかし、数日経過をしてから次第にセリーナ批判の声も多くなってきました。

 

一方でアメリカ以外の海外メディアはセリーナの批判する論評が多く掲載されました。

英紙ガーディアンは記事の見出しで「セリーナウィリアムは家を焼き落として大坂なおみの輝きを忘れ去られた」と酷評。

Serena Williams burns the house down as Naomi Osaka's brilliance is forgotten | Sport | The Guardian

 

オーストラリアのヘラルド・サン紙はセリーナ選手が赤ちゃんのように地団駄を踏む風刺画を掲載し、セリーナ選手を批判。

しかし、この風刺画が世界で非難されますが、ヘラルド・サン紙はイラストレーターを擁護。

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セリーナへの警告は性差別なのか

 

これまでにこの記事に載せたように、世界の報道機関も意見は二分に割れているようです。差別に厳しいアメリカ国内も初めはセリーナ擁護の論評も多くあったのですが、時を経るごとにセリーナの過剰な主張に反論批評も多くなってきました。

では実際に主審のラモス氏は性差別的な言動、振る舞いをしていたのか。それはきっぱりとノーと言えるのではないでしょうか。

審判とは常に公平公正でいるべきであり、会場の空気に飲まれず、常にルールブックに従いジャッジを下す存在であると言えます。

主審ラモス氏は厳格な審判で有名だと、複数の記事では書かれていました。

セリーナ暴言、ラモス主審は「厳格だが公正」 関係者証言「選手を公平に扱っている」 | THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

厳格であることは決して批判される理由にはなりません。

コート外からのコーチングが常態化しているからといって、いつも審判は見逃してくれるとはいかないのです。

たまたま今回の全米オープンの女子決勝を審判したのがラモス氏であり、たまたまセリーナ選手がパトリックコーチのジェスチャーに気づかなっただけであり、それに対しての厳格な警告がセリーナ選手を惑わしてしまったのです。

セリーナ選手がコーチングに気づかなくても違反は違反です。

これは全く性差別とは言えないのではないかと私は感じました。

 

セリーナ選手は黒人選手であり女性選手でもあります。

コートの中、外問わずいままで様々な差別を経験をしてきたに違いません。

セリーナ 男女差別の過去を激白 - テニス365 | tennis365.net

セリーナ選手は試合をしながら、母親を演じながら常に差別と闘っているのでしょう。

今回、セリーナ選手が過剰に反応したからといって誰もセリーナ選手を責めることも出来ません。

いままで過剰に反応させる体験、生活をさせてきた社会が悪いと言えるのではないでしょうか。

 

 

しかし、今回の騒動できっぱりと性差別だと主張をして、それに対して多くの賛同者が得られた。これはとても明るい将来を期待できる出来事なのではないかと、私はそう思うのです。

 

大坂なおみ選手、グランドスラムおめでとうございます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。