はじめに
こんにちは。
朝方スマホですいすいーとネットニュースを見ていたら、6月10日にスイスでソブリンマネー構想の是非を問う国民投票が行われるとの記事を見つけました。
金融関係の話に疎い私には最初どういうことだかあまりよく分からず…
ソブリンマネーとは何ぞや
ソブリンマネーが分からなければそもそも記事が理解出来ない…
そこで上の記事を100%理解出来るよう、用語やその背景について調べてみました。
至らぬ点があると思いますが自分のためのメモとして記事にしてみます。
ソブリンマネーとは
まず記事の主要ワードであるソブリンマネーについて。
ソブリンマネーとは政府のおひざ元にある中央銀行が発行する通貨のこと。
ちなみにソブリン(sovereign)は日本語で主権者、統治者を意味します。
記事の舞台であるスイスの中央銀行はスイス国立銀行(SNB)が担っています。
つまりスイス国立銀行が発行しているお金がソブリンマネーと呼ばれ、それ以外の民間の銀行が発行しているお金や電子マネーはソブリンマネーとは呼びません。
ほとんどのお金は民間の銀行が発行している
記事では中央銀行にしか通貨創造を認めないというソブリンマネー構想ですが、実は今日の金融では主にお金を造っているのは、中央銀行ではなく民間の銀行。
ただしお金を造っているといっても、硬貨や紙幣は中央銀行のみが発行しています。
スイスでは2017年の時点では約800憶フランの現金、つまり硬貨と貨幣が流通しているそうです。
ですが、市場に流通しているお金全体でみると、この800憶フランは1割にしか満たない量であるのです。
市場に流通している残りの9割は、信用創造により電子マネーという形で民間の銀行が企業やその他銀行へ融資、流通しているのです。
ちなみに信用創造とは、銀行が受け入れた預金を企業に貸し付けることによって、初めに受け入れた預金以上にお金を生み出す仕組みのこと。
また、電子マネーは実際に現金としては存在していないのですが、現金と同じ取引ができるため預金通貨と呼ばれています。
民間の銀行は大規模な額のお金を電子上、書面上にしか存在しない預金通貨で企業などに融資出来るようになり、さらにここ数十年の電子情報技術の発達によりその額は増大しています。
つまり民間の銀行は信用創造によって手元にある資金以上のドでかい額の融資を行ったり、債券を買い込むことが出来るようになりましたが、その分銀行が抱える負債も増えていきます。
ソブリンマネー構想を掲げた通称「ソブリンマネー・イニチアチブ」の発起人たちは、この民間の銀行が勝手に信用創造によって増やした預金通貨で融資を行うのを止めようとしています。
なぜなら、2008年に起こった世界金融危機によって世界有数のスイスの銀行UBSが莫大な不良資産を抱え、スイス国と一緒に破綻しそうになったのはこのドでかい預金通貨のせいであるためと考えたからです。
記事では「もし構想が可決されれば民間銀行は自ら管理する預金口座にある資金か、高いコストを払って市場や中銀から調達した資金しか融資できなくなる。」
と書いてあります。
ソブリンマネー構想が可決、施行されたら民間の銀行は信用創造が行えなくなり、その銀行が持っている資金の範囲内のみか、中央銀行が発行、流通させたお金のみでしか貸付を行えなくなります。
そうなることにより、中央銀行がお金の流通量を絶対的に管理、調整することが出来るようになり又、先の世界金融危機のときのUBSのような悲劇が起こらずに済むようになると、ソブリンマネー・イニチアチブは考えてるようです。
スイス中央銀行は反対!
これでスイスフランも絶対安心安全の通貨だね!って思うかもしれませんが、記事では、「スイス国立銀行(中央銀行)のジョルダン総裁はソブリンマネー構想は「危険なカクテル」だと警戒感を露わにする。」
と、中央銀行の総裁が反対しており、政府も議会もほぼ反対の意思を示しています。
なぜかというと、まず挙げられるのが、前例が無いということ。
絶対的安心安全のスイスフランを築きたいのに、いままでにない金融システムを導入したら始めは混乱が起こるのは目に見えていますし、前例が無いというとこは長期的な影響も未知数であって全然安心安全じゃないということです。
また、民間の銀行が信用創造を行えなくなるということは貸し出せる資金も減り、経済に悪影響を及ぼすと考えられています。
あとは、スイスフランが安心安全の通貨でいるためにわざわざソブリンマネー構想を取り入れなくても、国際的に統一で決められた銀行の自己資本比率や、勝手に信用創造によってお金を無限に増やさないようにする準備預金制度など、厳しい規制をすることで出来ると言われています。
さて、記事ではソブリンマネー構想は否決される見通しですが、ブレクジットの前例もあり油断は出来ないと言っています。
投票まであと5日です。トレードを行っている人はしっかり注視しときましょう。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。