けろけろの考えごと

無駄な思考もいつかは再利用できると信じて

グレーなステイホームに彩りを添える花と花瓶

緊急事態宣言が発令された4月、自分は新入社員となった。

入社早々自宅勤務となり、日々自室から研修を行っていた。

緊急事態宣言が解除された6月からは週2日の会社勤務も始まり、以降本日に至るまで同様の勤務状態が続いている。

その間に自分の周辺環境も大きく変わることがあった。

実家から出て一人暮らしを始めることになったのだ。

今までの自宅勤務では実家の自室で作業を行っていたが、実家を出てしまったために今は一人暮らしをしている家のリビングで作業を行っている。

実家の自室よりも広いリビングルームと白を基調とした壁で明るい部屋を実現できてはいるが、それが逆に殺風景な部屋を演出してしまっている。

声に出して人と話す機会は朝10時と夕方5時のミーティングだけで、業務的な作業報告のみ。

人と会話する機会の少なさと、自宅から出ない日々が続いて、少しずつ自分の心が荒んでいく状態がよく分かっていた。

なにかを変えなければどんどん鬱状態になってしまう。

白くて明るい部屋には、ステイホームをする自分のグレーな気持ちが漂っていた。

そう考えていたとき、たまたまネットニュースで農林水産省が取り組んでいるプロジェクトを見た。

それが「花いっぱいプロジェクト」だ。

「花いっぱいプロジェクト~お家やオフィスに花を飾ってみませんか?~」:関東農政局

コロナの影響によって花きの需要が縮小している中、家庭や職場で花を飾って楽しもうという国を挙げての需要拡大プロジェクトのことで、以前に農林水産省の公式YouTube「BUZZ MAFF」がPR動画をアップロードしてネット上で話題になったのを覚えている人もいるだろう。

 白くてあまりモノの無いこの部屋に一輪でも花を飾っていれば少しは変わるかもしれない。

さっそく花瓶を選ぶ旅が始まった。

だが、自分がときめく理想の花瓶がなかなか見つからない。

いや、自分が理想とする花瓶がそもそも分からない。

こう、下部に重心があってあまり派手な形ではなく、存在感はそれほど無いんだけれど、花瓶を見たときにパッとこれだ!と思えるモノを探していた。

 

こんな抽象的な思いで見つかるわけがなかった。

最悪ガラス工芸をやっている友人に全面的に任せて作ってもらおうと考えていた。

しかし、ある日イケアに行ったときにシンプルでめちゃくちゃ安い花瓶を見つけた。

探し回ってからかなり時間が経っていたし、値段も安いし形も悪くないし、とりあえず買うか。

そうしてようやく我が家に花瓶をお出迎えした。

それからは早かった。

家の周りには意外と花屋さんがあり、しかもキャッシュレス(重要!)にも対応していた。

これからこの花屋さんに通うことになるんだと思うと、まるで懇意のお店が増えたようで少し嬉しかった。

 

今はテレビの横に花を飾っている。

自宅で仕事をするときに、すぐに目につくところだ。

だいたい2週間に一度買い替えており、真っ赤なカーネーションや、薄い黄色のバラ、オレンジのガーベラだったりと、存在感はあるのに毎日見てても飽きないのが花のすごいところだと思う。

また、初めて自宅で花を飾ってみて分かったのは、まるで花もペットのように毎日見てあげないといけないことだ。

花びらや茎の状態、浸かっている水の状態、日当たり具合。

たった一輪だけでもしっかりと見て、愛でて、枯れるまで育てようと気持ちを与えてくれる。

 

自宅で仕事中に少し息が詰まったときなど、ふと花の方へと目をやると少しだけ落ち着くし、気持ちを穏やかにしてくれる。

以前よりも自宅にいることが多くなったこのコロナ禍の中、買ってよかったものは花瓶と花で間違いないだろう。

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お題「#買って良かった2020