けろけろの考えごと

無駄な思考もいつかは再利用できると信じて

コンプレックスを磨いてくれた電動歯ブラシ

自分にとって「歯」にはあまり良い思い出が無い。

さいころから歯医者によく通っていた。

定期検診ではなく。虫歯を治すために。

あの「キュイーーーン」と甲高い音を放つ機器と、歯医者独特の臭い。

そのせいで歯医者が嫌いという人も大勢いるだろう。

だが、自分は歯医者は嫌いではない。

あまりにも通い続けるから慣れてしまったからだ。

 

しかし、学校で行われる歯科検診は嫌いだった。

小学生のころには学期毎に歯科検診があった。

1人の歯医師が大勢の児童を一人一人検診していくため、検診のスピードが肝心である。

しかし、自分の番になるとやたら健診が長かった覚えがある。

検診が長いということはなにかしら問題があるということだ。

案の定、後日担任から紙をもらう。歯医者に行けという催促状だ。

 

歯磨きも好きではなかった。

いくら磨いても虫歯が出来てしまうからだ。

それなら歯磨きなんていらないんじゃないかと思うときもあった。

しかし、実際にはいやいやながらも毎日磨いていた。

 

初めて電動歯ブラシの実物をみたのは小学6年生のころだ。

それも同級生の友人が使っていたのだ。

私は驚愕した。

彼はまだ12歳の小学生にもかかわらず「電動」に頼っているのである。

その行動は自分の意に反していた。いや、自然の条理に反してるくらいの衝撃だった。

今思えば子どもが電動歯ブラシを使って何が悪いんだと思うが、当時の自分は小学生は鉛筆を使わないと正しい持ち方、書き方が身につかないと信ずる純情な心を持っていたため、「電動」でない歯ブラシで自分の腕と手を使ってしっかりと歯を磨かないといけないものだと思い込んでいた。

 

しかし、自分も子どもである。

新しいモノをみるとついつい気になってしまうし、欲しくもなる。

自分の意に反して、羨ましいとさえ思ってしまった。

 

自分が高校生になったころのある日のこと。

突如家の洗面台に電動歯ブラシが置かれていた。

その持ち主は兄であった。

兄が平然と慣れた様子で電動歯ブラシを使う。

そんな姿をみて、また羨ましく思えた。

1ヶ月過ぎたころにはなんともう1台増えていた。

それは父のものだった。

ずるい!大人だからって電動歯ブラシを買うなんてずるい!

 

いや、待て。

自分ももう高校生だ。義務教育を終えたのだ。とうとう電動歯ブラシを使っても良い身分になったのでは。

しかも手と腕を使ってゴシゴシ磨くよりも綺麗になるだろう。

このコンプレックスを抱えた歯を、少しは良くしてもらえるのではないのか。

 

さっそく家電量販店に行った。

そこには想像していたよりも種類が多く、下は1000円台から上は2万円を越すものまでさまざまな電動歯ブラシが展示されていた。

しかし自分は高校生である。それほどお金を持ち合わせていない。

じゃあ安いモノを…ということにもいかなかった。

極端に安いモノを買ったとしても、安物買いの銭失いになるのではないかと疑ったからだ。

 

それから高校を卒業して晴れて大学生になった。

バイトをするようになり、さまざまなモノを買った。

電動シェーバー、電動鼻毛カッター、電動ドライバー…

 

そういえば電動歯ブラシを買っていなかった。

もう大学生だ。12歳のころから憧れていた電動歯ブラシを買ってもいいんじゃないのか。

さっそく今度はアマゾンを開いて検索をした。

今なら買うことができる値段の幅が広がった。

さまざまな種類からレビューやらメーカーやらを比較検討をしてスマホ1つで注文した。

注文した電動歯ブラシはすぐに家に届いた。

あれほど憧れていた、10年近く思い焦がれていた電動歯ブラシを、こんなにも簡単に買ってしまった。

 

白くて洗練されたフォルム。非接触型の充電は未来を感じる。

フルに充電をして、試しに磨いてみた。

まるで口の中に蜂が紛れ込んだかのような振動。これが音波の力か…

磨き終えて口をゆすぐ。

鏡に向かってはにかんでみる。

心なしか歯が白い。

口の中もすっきりした気分だ。

心が少し躍った。

それと同時になぜいままで買わなかったのだろうかという後悔の念も覚えた。

今までの電動歯ブラシに対する葛藤はなんだったのだろうか。

悩んだ 時間が、自分にとって有益なものだったのか。

電動歯ブラシを使って歯が白くなった気分になっただけでない。

歯に対するコンプレックスも、少しだけだけど、白く磨いてくれた気がした。

いままで以上にみんなの前で、カメラの前で歯を出して笑ってみようと思えた。

 

 

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